晴れた空

1/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

晴れた空

 いつからだろうか。  雨が降らなくなったのは。  街の上に広がる空。  穏やかな波の流れと、海。  真っ青なその群青の向こう。  そのずっと先に、——今日も、同じ航路を辿っていく飛行雲が見える。  歩道の上に立つ街路樹が、さやさやと靡く。  交差点の上にすれ違う人々と、パッパーというクラクション。  ビルは曲線を描いたように高く反り上がり、整列する何枚ものガラスの向こうに、ゆらゆらと雲が漂っていた。  平和だ。  それ以外に言葉がいらないほど、何もかもが静かに通り過ぎていた。  今日は何曜日だっけ?  いつからか、そう思うようになってしまった。  自分が今どこにいて、何をしてるのか。  それさえも、わからなくなるほど。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!