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出逢い1
鈴木栞、18歳。
高校3年生の彼女は、この日午後の授業を終え、
少し早めに帰路へ着いていた。
電車の扉にもたれかかっていた時、その異変はやって来た。
数ヶ月前から数回、この症状を発症している。
今までは、自分の部屋にいる時だったので
大事には至らなかったが、
この日初めて電車の中でその異変が起きた。
『っ...くる...し...い.......どうしよう』
栞の額と手には脂汗が滲み、顔面はみるみる蒼白になる。
このままだと、周りの人に異変を知られてしまう。
そう思うと余計に症状が酷くなる。
緊張から、栞の呼吸はどんどん乱れ、
息を吸う事もままならない。
そして、次第に視界がチカチカと不鮮明になってきた。
その時、電車は次の駅のホームへと滑り込んだ。
自宅の最寄り駅から3つ手前の駅だった。
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