7

8/10
4303人が本棚に入れています
本棚に追加
/527ページ
その週の週末、栞は父・剛のマンションにいた。 栞は父の好きな煮物を作りながら聞いた。 「ねぇねぇ、園田さんとは、その後どうだった?」 栞が入れたお茶を飲んでいた剛は、いきなりゴホッとむせた。 アヤシイ。 栞の父は隠し事が出来ないタイプなので、その反応だけで想像がつく。 「い、いやっ、まあね......」 「まあねじゃわからないよ! 連絡先くらい聞いた?」 栞がダイレクトに聞くと、剛はまたむせて咳き込んでいる。 どうやら、その後何かあったようだ。 「あ、ああ。今度、一緒に美術館に行く約束をしたよ」 「えっ? 本当? わー! 良かったぁ!」 「何が良かったんだ?」 「だって、私、園田さん大好きだから! 園田さんがお母さんになってくれたらなぁ、そうしたらお父さんの事少しは見直しちゃうんだけれどな!」 栞がそう言うと、更に剛はむせていた。 そして、諦めたようにお茶の入った湯飲みをテーブルの上に置いてから 言った。
/527ページ

最初のコメントを投稿しよう!