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「栞は、園田さんのどういう所が好きなんだ?」
「うーんと、まずは優しい所かな? あとはね、声とか表情が、なんかお母さんに似ているから」
栞の言葉を聞いて、剛が言った。
「そうだな、俺もそう思ったよ。雰囲気が京子によく似ている。あの女性と話していると、なんだか懐かしい昔が蘇るような気がするんだよな」
「お父さんもそう思ったんだ! やっぱり似てるよね。お母さんに」
「うん。だからって、彼女にお母さんを被せるのは失礼かなって思うんだ。それに彼女はまだ若くて独身で、俺みたいな大きな娘のいる男と付き合わなくても、まだいくらだって普通の恋愛が出来るだろう?」
父が珍しく弱気な事を言っている。
しかし、ここで引き下がる栞ではなかった。
父に全てを任せていたら、あんなひどい継母が家にやって来たのだ。
こんな時は、直也が言っていた『直感』と『女の勘』を信じて、
なんとかして2人を結び付けなければと思っていた。
だから栞は、直也から聞いた美幸の事を、
全て父の剛に話してみる事にした。
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