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栞は急遽その駅で下車した。
この駅へ降りるのは初めてだった。
そして目の前にあったベンチへ、崩れるように座り込む。
停車したままの電車から、
栞の様子を不思議そうに見つめる人がいた。
その視線を感じ、さらに呼吸が乱れてくる。
『どうしよう......』
その時、鋭い発車ベル音がホームに鳴り響き、
電車は走り去って行った。
電車がいなくなり少し安堵した栞は、
とにかくこの状況をなんとかしようと、呼吸へ集中する。
自宅でこの発作が起きた時は、
落ち着いて呼吸に意識を向ければ、治ったからだ。
ネットで調べた情報によると、
リラックスして深い呼吸を繰り返せば、落ち着くらしい。
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