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呼吸に集中しながら、
栞は向かいのホームにある看板をぼんやりと見つめた。
【貝塚こころのクリニック・この駅から徒歩1分 ・予約なしでOK! ・1人で悩まないで!】
ボーッとする頭で、栞は必死に考えた。
今自分に必要なのは、
こういった類の病院ではないだろうか?
そう思うと、
栞はふらつく身体のままベンチから立ち上がり、
意を決して改札へと向かう。
自動改札機を通り抜けた目の前に、そのクリニックはあった。
『助かった......』
栞は血の気の失せた顔のまま、
ヨロヨロとそのクリニックへ近づくと、
精一杯の力を込めてドアを開けた。
そして一歩中へ入ると、倒れ込むようにその場へ崩れ落ちた。
その瞬間、待合室にいた患者達から声が上がった。
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