出逢い1

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「キャーッ!」 それと同時に、受付にいた2人の女性のうちの1人が 栞を目指して走って来る。 そしてもう1人は、クリニックの奥へと向かう。 医師を呼びに行ったようだ。 ぼやけた視界の隅にそんな光景を捉えながら、 栞の意識は徐々に薄れていく。 『助けて......』 栞は涙をこぼしながら、無言の叫びを発する。 その時、傍へ駆けつけた女性が栞を抱え込み、 「大丈夫よ、もう大丈夫だから!」 と、優しく声をかけた。 その声は、栞が小さい頃に亡くなった母の声に、 とてもよく似ていた。 『お母さん......』 栞は苦しそうな表情を浮かべつつ、 口元だけはうっすらと微笑んでいた。 遠のく意識の中で、 母親が来てくれたのだと思っていた。
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