4387人が本棚に入れています
本棚に追加
/527ページ
2
どのくらい時間が経ったのだろうか?
栞が目を覚ました時、窓の外はもう薄暗くなっていた。
栞が寝ていた部屋は、クリニックの処置室のようで、
室内には点滴スタンドや薬剤の入った棚などが置かれていた。
この部屋の廊下を挟んだ向かい側の部屋から笑い声がする。
既に今日の診察は終えているようで、
その声は、残務処理をしている受付の女性の声だった。
栞はゆっくりと起き上がった。
先ほどまでの辛い症状は跡形もなく消えていた。
栞はベッド脇に揃えられていた靴を履くと、
鞄を手にして、廊下へ出た。
その時、看護師が隣の部屋から出て来た。
「具合はいかがですか?」
「もう大丈夫みたいです」
「それは良かったわ。じゃあ、少し先生とお話ししましょうか?」
20代後半くらいの看護師は、
第二診察室と書かれた扉をノックし、ドアを開けた。
そして、栞に中へ入るよう促した。
最初のコメントを投稿しよう!