常闇に光

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「……ごめんね……ごめんね、藍二くん。あたしにちゃんと勇気があったら、あんなこと言われないで済んだのに……」 『気にすんな、真昼。高校卒業して、保育士になるんだろ? 俺は真昼の夢、ずっと応援してるから』 「……うん。頑張る」 『よっし、じゃあ、雅哉と真昼が幸せになることが俺の幸せだから、きっとそれが叶ったら、こうやって化けて出ることもなくなるかもしんないし、それまでよろしく頼むわ』  ケラケラといつものように陽気に笑う藍二。その姿は、俺と真昼にしか視えていない。 「授業中笑かすのだけはやめろよな」 『あれ! めっちゃ面白いんよなー! やめらんねぇ』 「は?! ふざけんなって、マジこの前数学の乃木に睨まれてヤバかったんだからな!」  藍二のピアスを付けると、藍二の姿が視えるようになることに気が付いたのは、真昼だった。  死んだら化けて出てやるなんて、物騒なことを言うのは俺にくらいだろうけど、きっと、藍二は真昼にまだ未練たらたらだ。  確実に会いたくて出てきているのがわかるし、それを拒否しない真昼は、やっぱり藍二のことを想っているからなんだろう。  二人が幸せになることはこの先ないのかも知れないけれど……。  今は、このまま二人のことをそっと見守っていきたい。 『よっしゃ、たい焼き食いにいこーぜー』 「え? 藍二その姿で食えんの?」 『いんや、わかんねーけど』 「なんだよそれ」  真昼と俺の間。  三人分の笑い声がこだまする。  これからしばらく、藍二はそばにいてくれるらしい。嬉しいような、悲しいような。なんとも言えない複雑な気持ちだ。まぁでも、楽しければそれで、良しとしよう。かな。    
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