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見た目のせいで先輩からは目をつけられるし、他校の知らない奴に絡まれることもしょっちゅう。だけど、藍二は喧嘩しても絶対負けないし、普段頼りない顔してるわりに、本気を出すとまぁまぁ、と、言うか結構ヤバい。
俺は友達だから笑っていられるけど、間違っても絶対にこいつだけは敵に回したくはないと思っている。
そんな藍二だけど、ただ一つ、好きな子にだけはめっきり弱い。藍二に彼女が出来たのは、高校に入ってすぐだった。
『藍二! 真昼に告られたんだろ?』
『ばっっ……か! どこで聞いたんだよ!』
『え? 真昼本人』
『ああ?! マジかよ。なにしてんだあの女』
『藍二くんにオッケーもらえました! これからよろしくお願いしますって、律儀に挨拶しにきてくれたんだよー?』
『なんだよそれ。おかんか』
『いや、嫁でしょもう』
『よ?! よめぇ……!?』
『あははは! 藍二顔真っ赤だぞ! なに、照れてんの?』
『あ? ヤんぞコラ』
『ヤんない、ヤんない!』
鋭い眼光を向けながらも耳は真っ赤だから、笑いを堪えるのにこっちは必死だ。
中学校の時から藍二は真昼のことが好きだった。俺と藍二はヤンチャで先生や親に怒られることは日常茶飯事。周りの奴らには、手をつけられないとか、近寄るなとか言われていて、クラスの中でも浮いていた。
そんな中でも、真昼だけはいつも挨拶をしてくれて、話しかけてくれて、いつだって優しかった。
真昼は強い男の子が好きだと言っていた。
藍二は強かったし、誰も立ち向かうことなどできないくらいに威厳があった。
二人は順調に付き合っていたと思っていたのに。
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