宵闇

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「お前自分がどうなってんのかわかんねーの?」  全速力でペダルを漕ぐ俺の横を、涼しげな顔をして着いてくるから、どうしたって腹が立つ。 『別にどうなってたって良いよ』  心底どうでもいいような言い方に、昇った血が沸き上がった。 「っざけんな!! お前知んないかも知れねーけどな、真昼、お前の分のノート自分とは別にとってたり、必要な課題や提出物まとめたり、休んだ時に周りがこそこそ文句言ってる時に、自分が悪いわけじゃねーのに、ごめんねって謝ったりしてたんだよ! で、真昼はお前のこと、嫌いで別れたんじゃないっ」  ぜぇ、ぜぇっと一気に捲し立てた後に、全体力消耗。立ち漕ぎだった姿勢をサドルに戻すと、垂れ流れる汗を手の甲で拭って、また気合を入れ直す。 「お前、最近喧嘩して大人の男の人殴らなかった?」 『……え』 「その人、真昼の父ちゃんだって! 運悪過ぎだろ。なんで手あげたんだよ?」 『……殴ってねぇ……』 「は?」 『真昼の父親のこと、俺は殴ってねぇよ。俺が殴った奴らは、真昼のことバカにしたんだ。それを説明しても、あの人は俺を許さなかった。俺みたいな奴と付き合っているなんて知れたら、私は恥ずかしいんだって、真昼とは別れてくれって頭下げられた』  ペダルを漕ぐ足に力が入らなくなって、俺は自転車を止めた。
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