2.

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*  足早に帰宅して、家の門を開けたところで一匹の猫を見つけた。模様は黒白。尻尾は一本なので一般的な猫だけど、どこかあの猫又に似ていた。 「なあお前もしかして……」 「ギャ」  声をかけると猫は驚き半分に鳴いて家の敷地から急いで出て行った。完全に猫の反応だったのであれはもう猫だろう。そういうことにしておいて思考を現実に戻した。    きょう登校しなかったことが母さんに伝わっているだろうことを思うと気が滅入る。どう説明しようかと重い頭で考えつつ窓から家に入り、廊下を通って玄関ドアの鍵を開けた。  ついでに外の様子を見たけど、先ほどの猫が戻ってきているというようなことはなかった。  残念だけどこの周辺を縄張りにしている野良猫ならまたいつか遭遇するだろう。それよりも学校を休んだ理由を母さんにどう話すかが問題だった。  犬になったことは当然言わない。  人としての理由挙げるなら、気が重かったから。実際にそうだったからもうシンプルにそのままを言うことにした。  詳しいことは話さなくてもこの顔を見たら母さんも多くは言わないんじゃないかと思う。  僕は犬になる前と後で鏡を見なくても分かるぐらいに変わった。  会えるならもう一度猫又に会ってお礼を言いたい。話すためにもう一度犬になれというなら、なっても構わない。ただし一時的に。犬になったのは貴重な体験だったけどこの先は人間として生きていきたい。  そう思った瞬間、何かを引き寄せてしまったのか外を歩く犬と目が合った。  慌てて逸らす。  飼い主が傍にいないし首輪もないから野良犬だろうけど、もしかすると一時的に犬化している人かもしれないとも思った。 もし人だったなら本来はどんな顔をしているのか気になるところだけど、人である可能性はかなり低い。犬のことはもう考えないことにして家の中に戻った。
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