第二話 本当の化け物

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第二話 本当の化け物

「南!昨日の事ちゃんと説明してよ!」 教室に入るなり、加奈ちゃんが怖い顔をしながら私に声をかけてきた。 「南!どうして教えてくれなかったの?  先輩と知り合いだったの?  みんな騒いでたんだよ!  私、昨日みんなから質問攻めにあって大変  だったんだからね!」 「加奈ちゃん…ごめんなさい。 実は一昨日、学校帰りにお婆さんが  熱中症で倒れてて…介抱している所に  偶然彼も通りかかって、助けて  下さったのよ。  だから、その彼が先輩だった事に驚いて…  つい、あんな行動をとってしまったんです…  加奈ちゃんを一人にさせてしまって  本当に申し訳なかったわ…。」 私は咄嗟に嘘をついた。 加奈ちゃんには本当の事は言えなかった。 私が本当は"雪女"だって事なんて言えるわけがなかった。 「なんだ…そうだったんだ。  それは大変だったね…。 それで、お婆さんは大丈夫だったの?」 「はい。無事でした。  救急車も直ぐに来て下さったので」 「そっか…。  なら、安心だね。  南は優しいね。  いつも誰かを助けてる気がするよ。  私には出来ないもん…。 凄いよ!  先輩も優しいんだね。  ってかそれって凄い素敵な出会いじゃない?  絶対好きになるやつだよね?  偶然の出会い?  なんか萌えるね!」 「そうですわね…。 そうだったら…良かったですわね…。」 私は苦笑いをした。 本当は普通に出会いたかった。 普通ってなんだろうか。 私は普通の人間だったら良かったと思ってしまった。      
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