第二話 本当の化け物

2/22
前へ
/57ページ
次へ
「南?どうしたの?  大丈夫?  ちょっと顔色悪くない?」 加奈ちゃんは私のおでこを触ろうとしてきた。 私は咄嗟に顔を背けた。 「あっ、大丈夫ですわ…。 ちょっと昨日…寝付けなかっただけですわ。  気になさらないで下さい…。」 「そうなの?  そっか…無理しないでね。」 加奈ちゃんはなんだか寂しそうな顔で 自分の席に着いた。 私は加奈ちゃんを傷つけてしまった。 私は人間とは違って氷の様に冷たい体をしていた。 小さい頃から誰にも触れられないように気をつけて、生きてきた。 触られてしまったら最後。 死んでいる人間と同じだからだ。 人間と同じ空間で生きるのは並大抵の事ではなかった。 辛いことの方が多かった。 小さい頃から外に出る時は日傘に手袋 帽子にサングラスをかけてでかけていた。 雪女は暑さが苦手だった。 そのせいで変な目で見られていた。 友達も出来なくて、一人でいる事が多かった。 手を繋いで帰る友達を見て羨ましかった。 自分がもし人間だったらと何度も何度も 思った。 彼女に出会うまでは…。 加奈ちゃんはいじめられている私を助けてくれた。たった一人の大切な友人だ。 それまでは、人間と関わる事が怖かった。 加奈ちゃんは言ってくれた。 「あなたは何も悪いことなんてしてない。  だから堂々としていればいいんだよ。」 私はその言葉に救われた。 心が軽くなったんだ。 (やっぱり…加奈ちゃんには話したい…。)
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加