第一話 転校生

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「あの…。さっきから本当に何を言ってる  んですか?  俺にはさっぱり理解が出来ません。 突然、こんな所に連れてきて…  秘密とか、契約とか…訳わからない事  ばかり言って、あなた達は何者なんですか?  ちゃんとわかるように説明して下さい。」 私は彼の訴えに納得した。 確かにその通りだ。 突然、家に連れてくるのは非常識だった。 「その通りですよね。  それは、申し訳ありませんでした。  突然、連れてきてしまった事はお詫び  致します。  ですが、私の秘密を知られてしまった事は  事実です。  あなたが知りたいのは私の正体ですね。  私はこれから、あなたに正体をお見せ  致しましょう。  その上で、これからどうするのかを、  話し合いましょう。」 私は目を閉じて、掌を前に出して息を吹きかけた。辺りはみるみる凍りついて、体は氷で包まれた。 そして、白い着物に、白い髪の女性に変わった。 雪女に変身したのだ。 「わっ、わぁ、わぁぁぁぁぁぁー⁈」 彼は私の姿を見て気絶をしてしまった。 「あら…。予想以上に驚いてしまった  ようですね…。  お父さん…。どうしましょうか?」 「仕方ない。  ベッドに運んであげなさい。」 「分かったわ。  少し、休めば落ち着くかもしれないです  わね。」 私は彼を自分の部屋に運んだ。 私は重さを感じない。 どんなに大きな男でも、運ぶ事ができる。 私は彼の顔をじっと見つめた。 目鼻立ちがしっかりしていて、整った顔の 男性だった。 「まぁ…。まつ毛が長いのね。  良く見たら、素敵な方。  唇もふっくらしていて、綺麗な形だわ。  とても、気に入りましたわ。」 私は彼の顔を見て笑みを浮かべた。    
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