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「何よウォルフ。聖女の私が狸ごときに騙されるとでもいうの?」
「いやだって、こんな狸いなかったろ! だいたい狸の王を退治しているのに狸が仲間って怪しすぎるだろ!」
「タヌきち、最初から一緒に旅していたタヌ!」
「そうよウォルフ。私たちパーティーは旅の最初から五人だったわ」
ピートとアリスとタヌきちも、うんうんとうなずく。
「長い旅で培った五人の信頼は鉄壁なの!」
「ほら、アリスだって仲間を信じる大切さはわかるんだ。ウォルフ、仲間を疑うのは幻術にかかっている証拠だよ」
「ピートの言う通りタヌ」
「危ない危ない。ウォルフはすぐ熱くなるから化かされるんだわ。少し冷静になりなさい」
「おまいら……頼むから、ちょっと冷静になってくれ」
ウォルフがなぜか頭痛に耐えるかのようにつぶやく。
しばらく思案していたが、ぽんと手を打った。
「そうだ! レイナ嬢よ、けさの宿屋で四人がけのテーブルで四人分の朝食を頼んだだろう。覚えていないか?」
「そういえば……」
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