週末異世界Ⅱ ~聖女様と幻影の城

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「何よウォルフ。聖女の私が狸ごときに騙されるとでもいうの?」 「いやだって、こんな狸いなかったろ! だいたい狸の王を退治しているのに狸が仲間って怪しすぎるだろ!」 「タヌきち、最初から一緒に旅していたタヌ!」 「そうよウォルフ。私たちパーティーは旅の最初から五人だったわ」  ピートとアリスとタヌきちも、うんうんとうなずく。 「長い旅で培った五人の信頼は鉄壁なの!」 「ほら、アリスだって仲間を信じる大切さはわかるんだ。ウォルフ、仲間を疑うのは幻術にかかっている証拠だよ」 「ピートの言う通りタヌ」 「危ない危ない。ウォルフはすぐ熱くなるから化かされるんだわ。少し冷静になりなさい」 「おまいら……頼むから、ちょっと冷静になってくれ」    ウォルフがなぜか頭痛に耐えるかのようにつぶやく。  しばらく思案していたが、ぽんと手を打った。 「そうだ! レイナ嬢よ、けさの宿屋で四人がけのテーブルで四人分の朝食を頼んだだろう。覚えていないか?」 「そういえば……」
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