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「やぁね。わたしだって、大切なお友達のコティを陥れようとした奴を捕まえたいのよ。それこそ、地獄送りにしたいくらいだわ。
それにルカ王子が暗殺されてしまったら、ウィルディシアの平和は失われてしまうのでしょ? わたしにも関わることよ。
だからコティのためだけじゃないの。お礼なんて必要ないわ」
テントは席を求める大勢の人であふれ、肩を触れ合わずには歩けないほどだが、トーマスが先導して人をかき分け、道を作ってくれた。
なんとかコティとメアリが指定された席につくと、トーマスとイヴリンは席の指定のない一般席に急いで向かった。
指定席は1シリングと騎士の日給ほどと高額だが、それ以上にツテがないと手に入れることが出来ない。
そのため貴族の中でもごく一部しか手に入らないプラチナチケットのため、トーマスとイヴリンの席は取れなかったのだ。
トーマスとイヴリンは舞台を見ることよりも、コティとメアリが見える場所を確保しなければならない。すでに観客があふれているような状態では、舞台が見えにくくてもいいといっても、場所がなくなってしまいそうだ。
コティのすぐ近くに取り巻きのひとりが座った。ナタリアが近くの席を手配してくれたのだろう。
「こんにちは、サーシャさま」
コティが声をかける。メアリを紹介し、あたりさわりのない会話をしている間に、サーシャの手にさっと視線を走らせる。
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