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コティは、男のいらだった声で目を覚ました。
「臭いよぉ。もっとマシな場所はなかったの?」
「すいやせん、旦那。ですが、そこの女が間違って別の女を用意しておいた檻に放り込んだせいで、場所を移動しなけりゃいけなかったんだから、言ってみりゃ、そいつのせいでさ」
聞き覚えのある声に、コティはブルブル震えだした。
――この声、サーカスの団長だ……!
テントには裸電球がひとつ人目をはばかるように点いているだけで薄暗い。ルビーはコティに背を向けるようにして立っており、その向こうには、人影がふたつある。
目を凝らすと、ピエロの化粧のままの団長の白い顔が浮かび上がった。もう一人の姿は影に隠れていてはっきりとは見えない。
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