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そっと猫耳を動かしてみると、やはりいつも動きを制限しているリボンの感触がない。コティは猫耳を手で隠したが遅かった。
「へえ! 前に会った時、どうりで頭を触らせなかったわけだね。猫耳を隠していたのかあ」
「珍しいでしょう! 猫耳ですよ。顔もなかなかだし、サーカスの見世物にすれば、人気が出るのは間違いなしってわけでさ。この娘、あっしにくだせえ」
団長はピエロの顔に残忍そうな笑みを浮かべた。
「えー、どうしようかな。そういえば、こいつの叔父はレイクウッド辺境伯だったよね。妙に勘が鋭くて、いつも僕を探るような目で見てくるんだ。大嫌いだけど、油断ならない奴だよ」
「レイクウッド辺境伯ですかい? グルチの噂がある? へえ。猫耳の姪っ子がいるなら、グルチだってのも真実なのかもしれませんな」
「レイクウッド辺境伯の鼻をあかしてやりたいのは山々なんだけど、敵に回すのは避けたいなあ。面倒だもん」
「なぁに、奴隷の焼き印を付けてしまえば、貴族の令嬢には戻れませんよ」
「なるほど、奴隷印か。いい考えだね。それに奴隷は王宮に入ることが禁止されているしね」
――そんなっ。ルカさまにも二度と会えなくなっちゃうの……?
「やっ……!」
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