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彼女の背を樹にもたれさせると、髪のひと房を手にとり、キスした。
令嬢の頬に朱があがる。
頬を指でゆっくりとなぞると、彼女があえぐように息をのむ。広くあいたデコルテから、胸の丸みがはち切れそうに盛り上がる。
男性の手が余裕たっぷりに頬から滑り落ちていき腰に手を回ったところで、ぐいっと力強く引き寄せくちびるにキスをした。
「あ……、だめですわ……」
赤いドレスの令嬢は、吐息交じりに言って、青年貴族の胸に手を当てて押しやりキスから逃れたが、それは恋の駆け引きだったようだ。瞳がとろんととろけて、自分のふくよかな胸を青年の体に押し付けている。
「引き寄せられちゃうんだ。だって、君のくちびるは薔薇の香りがするから……」と青年貴族がささやくと、令嬢の体から力が抜け、ゆっくりとふたりのくちびるが近づいていき、ふたたび情熱的な口付けを交わした。
コティはくちびるに手を当てて、声を押し殺した。
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