3 薔薇のティーパーティー

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 コティは見覚えのある場所はないかと周囲を見回したが、ぐるりと薔薇に囲まれている。 「仕方ない。最後の手段を使うしかないか」  コティはキョロキョロして周囲に誰もいないことを確かめると、靴をポンポンッと脱いだ。銀の葉をつけた大きな木に手をかけると、木の上にあっという間に駆け上がって大ぶりな枝に腰かけた。身体能力が高いのは元猫のなごりだ。 「見えた見えた! 会場はあっちだね」  コティは木から飛び降りようとしたが、話し声が聞こえてきたので、木の上で身を縮めた。貴族の令嬢が木登りをしていた……なんて知られたら、どう考えてもまずい。 ――あれ? 男の人がふたり、言い争っているみたい  コティは気が付かれないように息をひそめて耳をすませた。 「ロナウド、なぜちゃんとふたりを見ていなかったんだ」 「す、すまない」 ――ん? ロナウドって……  コティは木の葉の間から顔を出した。案の定、ルカ王子とロナウド将校が言い合いをしながら足早に歩いて行く。 「しかもメアリと3回も踊って、4回目のダンスを申し込んで断られたそうじゃないか。フィアンセではない限り、一人の令嬢と踊るのは3回までと決まっているのは、いくら堅物のお前でも知っているだろう?」 「うっかりしただけだって。ほら、コティを探すんだろう? メアリもコティがいないって真っ青になっていたし、早く見つけないと」
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