3 薔薇のティーパーティー

17/30
前へ
/202ページ
次へ
――ルカ王子さまとロナウドさまは、わたしを探しているの?  会場から抜け出したことがバレちゃったんだ。ふたりが通り過ぎたら木から飛び降りて、会場まで走ればなんとか。ん? 走るってことは、靴!  コティは木の上からそっと下を見下ろした。コティの脱いだ靴は、木に登るときに脱ぎ捨てたままの位置に、右と左がバラバラな場所に転がっている。 ――ああーっ! どうかどうかわたしの靴に気が付きませんように……! 「それにしても、本当に薔薇園にいるのか?」 「給仕が後ろ姿を見たって言ってたんだ。見間違いじゃなければいるはずだ」 「あっ、見ろ。靴が落ちてる! 片方だけか。もしや誘拐されたんじゃないか?」 ――う、うそ! 誘拐だと思われちゃった?  コティが驚いて身じろぎすると、若葉がパラパラと落ちて、ルカ王子の頭に降りかかった。 「なんだ?」  頭に手をやって葉を払い落としながら、ルカ王子が木を見上げた。 「コティ!」 「こ、こんにちは」 「なぜ木の上にいるんだ?」 「ええと、いっ今、降りようとしていたところで」 「降りる? 落ちたらどうするんだ。危ないからそこにいろ。わたしが迎えに」 「大丈夫です! 降りますから、こっちを見ないでください。スカートの中が見えちゃう」 「だけどもし落ちたら」 「だいじょお……きゃあっ!」
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加