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――ルカ王子さまとロナウドさまは、わたしを探しているの?
会場から抜け出したことがバレちゃったんだ。ふたりが通り過ぎたら木から飛び降りて、会場まで走ればなんとか。ん? 走るってことは、靴!
コティは木の上からそっと下を見下ろした。コティの脱いだ靴は、木に登るときに脱ぎ捨てたままの位置に、右と左がバラバラな場所に転がっている。
――ああーっ! どうかどうかわたしの靴に気が付きませんように……!
「それにしても、本当に薔薇園にいるのか?」
「給仕が後ろ姿を見たって言ってたんだ。見間違いじゃなければいるはずだ」
「あっ、見ろ。靴が落ちてる! 片方だけか。もしや誘拐されたんじゃないか?」
――う、うそ! 誘拐だと思われちゃった?
コティが驚いて身じろぎすると、若葉がパラパラと落ちて、ルカ王子の頭に降りかかった。
「なんだ?」
頭に手をやって葉を払い落としながら、ルカ王子が木を見上げた。
「コティ!」
「こ、こんにちは」
「なぜ木の上にいるんだ?」
「ええと、いっ今、降りようとしていたところで」
「降りる? 落ちたらどうするんだ。危ないからそこにいろ。わたしが迎えに」
「大丈夫です! 降りますから、こっちを見ないでください。スカートの中が見えちゃう」
「だけどもし落ちたら」
「だいじょお……きゃあっ!」
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