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王子は笑い声をはじけさせた。なおも、くっく、と笑いながら、「道に迷ったから、木に登ってたのか? コティは本当におもしろいね。お帰りはあっちだよ」と、噴水から伸びている道のひとつを指さした。
「ありがとう、ございます」
「はい、コティの靴。さ、手を貸そう」
王子はコティの足元に靴を置くと、コティがぐらぐらしないように手を支えてくれた。コティが靴を履くと、コティの手をやわらかく握りしめてから離した。
「もうひとつ、忘れものだよ」
「え? あっ、わたしのヘッドドレス!」
「木から落ちた時に、外れてしまったみたいだね。ちゃんとかぶっていった方がいいね」
「あっ、あの、ええと。ありがとう、ございます」
コティはモゴモゴとお礼を言った。頭に手をやって、猫耳が髪に隠れているのを確認した。猫耳がしっかり隠れるようにヘッドドレスの位置を調整して、顎の下でリボンを結ぶ。
――大丈夫……よね? ヘッドドレスが取れちゃっていたなんて。もしかして、猫耳を見られた? でもわたしの耳はLOPS(垂れている)だから髪をかき分けなければ見えないはず
「またね。コティ、先にお行き。席までエスコートしてやりたいが、王子とその従者と一緒に、スイートガーデンから戻ったりしたら、なんと言われるかわからないからな」
「なぜですか?」
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