3 薔薇のティーパーティー

20/30
前へ
/202ページ
次へ
 王子は笑い声をはじけさせた。なおも、くっく、と笑いながら、「道に迷ったから、木に登ってたのか? コティは本当におもしろいね。お帰りはあっちだよ」と、噴水から伸びている道のひとつを指さした。 「ありがとう、ございます」 「はい、コティの靴。さ、手を貸そう」  王子はコティの足元に靴を置くと、コティがぐらぐらしないように手を支えてくれた。コティが靴を履くと、コティの手をやわらかく握りしめてから離した。 「もうひとつ、忘れものだよ」 「え? あっ、わたしのヘッドドレス!」 「木から落ちた時に、外れてしまったみたいだね。ちゃんとかぶっていった方がいいね」 「あっ、あの、ええと。ありがとう、ございます」  コティはモゴモゴとお礼を言った。頭に手をやって、猫耳が髪に隠れているのを確認した。猫耳がしっかり隠れるようにヘッドドレスの位置を調整して、顎の下でリボンを結ぶ。 ――大丈夫……よね? ヘッドドレスが取れちゃっていたなんて。もしかして、猫耳を見られた? でもわたしの耳はLOPS(垂れている)だから髪をかき分けなければ見えないはず 「またね。コティ、先にお行き。席までエスコートしてやりたいが、王子とその従者と一緒に、スイートガーデンから戻ったりしたら、なんと言われるかわからないからな」 「なぜですか?」
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加