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――もしかして、わたしと同じでにぎやかな場所から逃げてきた人かも! もしそうなら少しお話でもできないかしら?
近寄ると、令嬢は一人ではなく男性と一緒にいるのが見えた。薔薇園の中にひとつだけしつらえたガーデンテーブルをはさんで、カクテルグラスを手にし、談笑している。
ふたりはお互いしか見えていないせいか、コティには気が付いていないようだ。男性は服装からして、青年貴族のようだったが、コティの位置からは顔はよく見えなかった。男性の手が、彼女の耳たぶに伸び、いじりはじめた。どうやら逢い引きしているらしい。
コティはサッと隠れて、ドキドキする胸を抑えた。
――ふたりでパーティーを抜けだしてきたのね! 見ていたら失礼よね。
いけないと思いつつ、好奇心が抑えられず、コティはこっそりのぞいてしまった。
白いレースの付いたブラウスに青いパンツの男性貴族が、つと立ち上がるとテーブルを回って赤いドレス令嬢の手を取り、ダンスでリードするように木陰に導いていく。
イラスト:水色奈月さま
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