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一方、水風船の中のモトアは、ふえーんと膝を抱えてうずくまった。遥々やってきた純情ワンちゃんには辛すぎる展開だがここはグッと耐えてもらうしかない。
モトアに同情したのか、クラリベルがそっと水風船に手のひらを添えた。
「……ワンちゃん。君にはもっといい人が現れると思うの。だからこれが最後の恋だと思わないで。人生はこれからよ。ライフ・ゴーズ・オン」
ぐすっぐすっとモトアが啜り泣く声が、水風船の中から漏れ聞こえる。あんな身勝手なバカップルに振り回されて、モトアが可哀想過ぎる。
登場して間もないというのに、エルフ王家の同情票を大差で獲得するドラゴンワンコであった。
タイロンとトトは、啜り泣くモトアにつられてズズっと鼻を啜った。
「……何だかモトアくんの方を応援したくなっちゃうよね」
「はい……でもモトアさんにはもっといい方がいると思います」
「そうだね……これはモトアくんの未来のための賢い選択だよね」
モトアくんは応援したい。でも、マーリンはオススメしない。
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