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ピアノなんて嫌い。
大っ嫌い。
みんなの苦笑い、キツかったなぁ…。
一番最初の音楽の授業で、ピアノを習っている人が挙手させられた。一年生の時は六人手を挙げて事なきを得た。
今年は三人手を挙げた。
「あれ?真奈美も挙げなよ」
同じピアノ教室に通う久美が私に声をかけた。久美に悪気は全くない。ただ私にとってはこの上ない悪魔に見えた。
「じゃあ、与田さんはサブで」
先生が名簿に書き込む。
こうして私はピアノ伴奏のサブになってしまった。サブだし、余程の事がない限り出番はないはずだろうと思っていた。
「与田さん、弾いてくれる?」
しかし何の前触れも無くその時は来たのだった。
『余程の事』ではなく『先生の気まぐれ』で…。
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