あなたの顔をちょうだい

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「あら、もしかして佐倉(さくら)さん? 久しぶりね」 「え、波野(なみの)先輩ですか!? 久しぶりですね!!」  波野先輩。  中学の時、同じ委員会で、いつも優しく話しかけてくれた先輩。  まさかこんなところで再会するなんて。  先輩は相変わらず綺麗。ううん、前より大人っぽくなった分綺麗さに磨きがかかったようだ。肌もとっても綺麗だし。  私はちょっと最近疲れ気味。先輩の綺麗さとは程遠い。こんな顔に憧れる。  先輩が私の持ってるカゴの中身をちらっと見る。 「今日は、カレーでも作るのかしら?」 「あ、そうなんです、えへへ。波野先輩は何を?」  波野先輩は料理も上手なんだろうな。   「私は買い物じゃないの」 「え、そうなんですか?」 「でも、ちょっと欲しいものがあってね」 「へえー、何ですか? 先輩の欲しいものって」  何でもそろってる先輩の欲しいもの、気になる。  すると、先輩が私の顔にスマホを向ける。 「? どうしたんですか?」 「あなたの顔、ちょうだい?」  そう言われた日から、町で私に似ている人を見かけるようになった。
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