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「どうやらお前も同じように苦しみたいようだな……」
引きつった笑い声が耳に届いたかと思えばすぐにユーインの背中へと激痛が走った。
兵士は鞭を振るい、ユーインの背中へ的を絞って叩きつける。
革紐の先端についている重りが着せて貰ったエイドリアンの服を引き裂き、色白な肌に傷をつくる。
革紐がエイドリアンの時と同様皮膚にのめり込み、肉が引き裂かれる激痛に苛まれた。
この激痛から逃れるためにはエイドリアンから離れさえすればいい。けれどユーインはこれ以上彼が傷つけられるのを黙って見ていられなかった。細い腕を彼の腰に巻きつけ、離れない。
ユーインの唇から放たれる甲高い悲鳴が周囲に響き渡る。
失神しそうなほどの激痛が襲い、けれどそのたびに鞭を背中に受け、現実に呼び戻された。
――どれくらい経っただろうか。
とてつもなく長い時間、こうして生き地獄を味わっていたような気がする。
鞭を振るわれ、空気を引き裂くようなうねる音がいつの間にか消えていることに気がついた。
朦朧とする意識の中で聞こえたのは唾を飲む音だ。
「おい……こいつは……」
「お前も同じことを考えたか? 実は俺もだ……」
ユーインは何が起こったのかと耳をそばだてる。すると突然、エイドリアンの身体に縋っていた細い腕は引き剥がされ、地面に引きずられた。
その直後、身体を隠していた服を取り除かれ、冷たくて硬いコンクリートの感触が身体に当たる。
ここから逃げて、エイドリアンを助けなければ。
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