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そう思うのだが、もはや抵抗する力さえも失ったユーインはただされるがまま、その場にうつ伏せで倒れ込む。
朦朧としすぎている意識のあまり、自分がこれからどんな目に遭うのかさえも判らない。
その場に成す術なくただ倒れ込んでいると、誰かの腕がむき出しになったユーインの腰を掴んだ。
振り向く力さえもないユーインは、横目で様子を窺えば、いつの間に鎧兜を取ったのだろう、ひとりの兵士が目をギラつかせ、頭のてっぺんからつま先まで身体の隅々を舐めまわすように見下ろしていた。
この目の意味は知っている。
ユーインの意識は一気に引き戻され、身体が強張った。
それは冥界に着いた当初、ラードーンにも同じように向けられたことがあった。品定めをするような奇妙な視線だ。
あの惨劇がまた自分を襲うのだろうか。
そのことを裏付けるように、着ていた服は破かれ自分の素肌が松明の明かりに晒されている。
しかも腰を持ち上げられて――……。
ユーインの身体に悪寒が走った。
彼はこの体勢が何を示しているのかに気付いた。
身体をひねって抵抗を試みるものの、エイドリアンを庇ってできた背中の傷から激痛がやってくる。
あまりの痛みでユーインの身体は弓なり、そして泣き叫ぶ。
その姿を見ていた兵士は、下卑た笑いを向けた。
彼らは鞭を打ち付けられ、苦しみもがきながら腰をくねらせるユーインの姿に魅了されてしまったのだ。
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