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卒業間近
2月の卒業式間近の日。
茜がいつも通り、中山を探して話しかけた。
「もうすぐ卒業だね」
その中山の問いかけに、
「先生、淋しい??」
と、少し上目遣いで中山を見つめる茜。
「淋しいけど、僕も居なくなるからな〜」
と答えた中山に、茜は、
「…え?、なんで…?」
と、問いかけた。
「僕のね、住んでた地元で研究をしようと思ってね」
と、中山は微笑んだ。
その微笑みが、茜は癪に障った。
なぜか茜を苛つかせた。
「じゃあ、もう会わないね!」
そう言って茜は逃げるように走り出した。
分かっている。
…頭では、分かっている。
ただ悔しいだけだって…。
自分ばかり、好きで会いたくて…。
淋しくて悲しくて、それが現実だと言われた気がして、辛かった。
『私ばっかり好きなんだ…』
そう思うと、心がすごく重くなった。
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