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友達とのお昼休み
「結菜んちのママも、弁当手抜き派じゃない?」
お昼休み、一緒にお弁当を食べてる美穂が言う。
「見てよ! うちのママも酷いもんよ。ご飯の上にきんぴら、白身魚のフライに昆布の佃煮。弁当屋の海苔弁かっ、て感じでしょ? 対して若菜のお弁当は、サラダ巻に唐揚げ、ミニトマトにブロッコリーに飾り切りしたウインナー。めっちゃ可愛いお弁当だよね。羨まし〜い。落ち込みそうになったけど、結菜のお弁当見たら、ご飯の上に焼き肉ドン! 家とおんなじようなお弁当で、元気出たわ。結菜ママ、仲間♪」
お母さんが居なくなった話は、学校ではしていない。
だから友達は、私が自分でお弁当を作っていることを知らない。
美穂は悪い子じゃない。
綺麗なお弁当を開いている若菜が羨ましいだけ。
「え〜、お魚のフライも焼き肉丼も、美味しそうだよ」
若菜が、美穂と私のお弁当を見ながら言う。
「そういう男子弁当みたいの、妙にそそられるんだよね」
「お、若菜さん、じゃあアタシのお弁当と取り替える?」
「それは、イヤ」
「イヤなのかいっ!」
若菜と美穂は楽しそうに言い合いしてる。
「よしっ、アタシ、決めた。ママに綺麗なお弁当作って貰うように頼んでみようっと」
「綺麗なお弁当って、どんな?」
「うーん、サンドイッチとか? オムライスとか?」
言いながら美穂が、私の方を振り向いた。
「結菜も結菜ママに頼んでみたら?」
「う、うん」
私は曖昧に笑って、そそくさと目玉焼き乗せ生姜焼き弁当を食べた。
お父さんも会社で食べているかなぁ、と思いながら。
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