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第95話 銀狐、目合う 其の十八 ※
「……こう……こう……!」
晧の耳元で、すんと香りを嗅いでいた白霆が、まるで香りに酔ったかのように晧の名前を繰り返し呼んだ。
「あ……あ……はっ……」
雄蕊は胎内で放った熱を、より奥へと刷り込むような動きをする。ぐちゅりと一際鄙陋で大きな水音が聞こえてきて、胎内の圧迫感が増した。雄蕊が更にぐっと奥に入り込んだ証だ。臀に白霆の下生えの感触がする。晧はようやく、白霆の全てをこの身に収めたのだと分かった。
「晧……晧、私が……怖くありませんか?」
熱に浮かされているようでどこか不安げな白霆の声に、晧は肩越しに彼の方へ振り返る。
彼の精悍かつ巧緻な顔がすぐ近くにあった。ぎらついた欲の焔に灼かれた灰銀の瞳は相変わらずだ。だが先程の声の様子の通り、その表情もまた不安げだった。
(ああもうお前は……)
こんなに大きくて凶悪なもので腹の奥の奥まで埋めて、こんなにも熱い白濁で灼いておいて、しかも自分を『白霆』という真竜に縛り付けたというのに、何故そんな顔をしているのか。
晧は腹奥のぐうるりと回るかのような悦楽に耐えながら、白霆の灰銀の長い髪を軽く引っ張った。
彼を呼ぶかのように、もっと近くに来て欲しいと訴えるかのように。
そうして顔を寄せて来た白霆の唇を掠め取る。
「……こわく、ねぇよ……白竜っ」
「──っ! ありがとうございます。ですがどうか……これから私が行うことを許して下さい。怖がらないで」
晧が応えを返しても、白霆の表情は変わらなかった。
「……どう……した……? 何が、したい……?」
どうにかしてやりたい。
やけに庇護欲のようなものが湧き出て晧は、少し身体を捻らせてもう一度、白霆の唇に接吻を落とした。
「貴方からの接吻、嬉しいです。晧」
お返しとばかりに今度は白霆が、晧の唇に触れるだけの接吻を何度も落とす。
「……貴方が私のものになった証でもある、この甘くて芳しい香りを吸い込むと、真竜の本能が刺激されて堪らないのです。貴方を本性で抱きたい。どうか……許して下さい」
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