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《三倉さん、小野寺です。今日はすごく楽しかったね。もしよかったらまた会いたいです。予定教えてもらえないかな。》
早速、帰宅して一息つくなり彼女に送ったメッセージ。
《メッセありがとう、小野寺くん。あたし、明日は大学三限で終わるの。だから夕方でよければ会えるよ。小野寺くんはどう?》
《俺は明日、午前中で終わり! 早い方がいいから明日会いたい。》
ほぼリアルタイムのやり取りで、とんとん拍子に話が進んだ。
──互いに「会いたい」気持ちがあるからだ、と嬉しくなる。
待ち合わせは二人の大学のちょうど中間にあたる街。
生憎小雨の降る中、翌日の夕方に駅で落ち合った。とりあえず屋内に、とリーズナブルで名の通ったファミリーレストランに向かい食事をしたのだ。
どこにでもある行き慣れた店で、よく知らない街では他に何も浮かばなかった。切り出した際に彼女も難色を示さなかったので、問題があるとは考えもしなかった。
のちに「初デートでファミレスに連れて行く男なんてその時点でNG」という女性側の意見を耳にした時は青褪めたものだ。
「はあ!? あたしあのお店大好き~。美味しいじゃない? 気楽に一杯食べてもお安くて学生には安心だしさ。いや、なんか食べたくなって来た! これから行かない?」
冷や汗の出る気分で謝った宏基を、恋人は明るく笑い飛ばした。
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