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会場の店に着き、入り口のガラスドアを押し開けた。
「あの、同窓会なんですが。あ、南第一小学校、の」
迎えてくれた店員にそう告げると、笑顔で奥に案内される。
大学に入学してひと月と少し。今日は、小学校の初めての同窓会にやって来たのだ。
「こちらになります」
先導してくれた店員に礼を述べて、宏基はパーテーションで区切られたその一角に足を踏み入れた。
「おー! 小野寺、久しぶりぃ」
一番手前のテーブルで受付をしていたらしい男子が、片手を上げて呼び掛けて来る。
「佐野」
考えるまでもなく、彼の名が口をついて出ていた。
小学校の同級生とは大半が中学卒業以来になる。
それも一学年二クラスだけだった小学校と違い、七クラスあった中学では疎遠になってしまったメンバーも含めて、の話だ。
なのに、ほんの一瞬で記憶が蘇った。
変わったのに変わっていない。おそらくは自分も同様なのだろう。
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