第1章 司馬懿仲達。

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第1章 司馬懿仲達。

西暦219年09月15日。  漢中にある魏軍の本拠地である 定軍山の戦いにて夏侯淵…字は妙才が討ち死にしてしまいました。 曹操「法正クラスの軍師は… うちにはおらんのか!」 この知らせを聞いた曹操は… 怒り狂ってしまいました。 劉備の抱えている諸葛亮ではなく 控えに近い法正の立てた計略により 夏侯淵が討たれてしまったから… 賈詡「…法正よりは私の方がまだ素行は良いかな…?誰だ!小首を傾げているのは…?似たり寄ったりだと言うのは誰だ?」 賈詡…字は文和(ぶんか) 董卓の配下である郭汜に仕えていた 素行に関しては法正と似たり寄ったりな素行であると言い切れるくらいの残念な人物である。 張遼「素行が全て良い人間などこの乱世には存在せぬと私は思いますが…」 張遼(ちょうりょう)…字は文遠。 董卓、呂布に仕えていたものの、 本人が素行の悪い振る舞いをしていた訳ではなく残念ながら主の素行が悪かっただけである。 武を極める事しか 興味のなかった張遼らしい 解答ではありますが… 曹操「文和以外に軍師はおらぬのか? 若手の軍師…でなくても良いから… 誰か…良い人間を推薦出来ぬのか?」 それに答えたのは… 華歆(かきん)…字は子魚。 華歆「育ちは荀家と変わらぬ名家で天才的な頭脳を持ち合わせている男がおりまする…」 華歆の話によると華歆とは幼なじみである司馬懿は…普段は屋敷の中にある書庫で調べ物をしている賢者なのだが 華歆「変わった性格をしておりますので誰かに仕える事など難しいと思いますがそれでも構いませんか?」 幼い頃から時間を共有していた華歆すら簡単に逢う事も出来ないくらいの変わった性格をしていました。 それは… 華歆「司馬懿に逢いたいのならば… 張春華に気に入られなければ逢えませぬ…。司馬懿が信じるのは正妻である張春華のみですから…」 女性を愛さなければ生きられぬ 曹操でさえそこまで妻を信じていないのに司馬懿という男性は… 司馬懿「春華、あの男に私は逢うべきだと思うか?」 こんな問い掛けを毎日、 妻である張春華としているのかと 思ったら… 曹操「何だか頼りない想像しか出来ないのだが本当に問題ないのか…?」 曹操は華歆からの紹介ではあるものの 寄らずに魏王の屋敷に戻ろうかと…思ってしまったくらいでした。 華歆「…愛妻家だと思えば問題ありませぬ…夏侯将軍も愛妻家で夫人以外を娶ろうとはなさいませんでした。」 華歆は曹操の扱いがそれなりに上手く ここまで言われると曹操は… 夏侯淵「凛風以上に可愛い女性など、俺は知りませぬ…。それに興味もありませんので…」 自身の従弟であり血の繋がりもある夏侯淵の事を思い出して胸の奥が妙に熱くなるような気がしました。 曹操「仕方ない…。これも妙才が逢わせてくれた出逢いかも知れぬ…」 華歆『さっきまで魏王の屋敷に戻ろうとしていたのはどなた様でした?』 華歆もさすがに魏王相手にこんな無礼な事を口走る訳にはいかず… 華歆「では…張春華殿の元に参りましょう…魏王の時間を無駄にしてはなりませぬ…」 早口言葉でこのような事を口にすると 慌てて司馬懿の屋敷に向かいました。 華歆「張春華殿はいらっしゃるかな?」 華歆が扉の前で挨拶をすると… 中から聞こえて来たのは… 勝峰「父は…留守です…。」 司馬家の嫡男である勝峰〈=後の司馬師〉の声でございました。 西暦208年産まれなので11歳である勝峰は大人と同じ様な喋り方を時々するので… 張春華「コラ!勝峰、勝手にお客様を帰らせてはなりませぬ…。出るのならば母の代わりに御用件をお聞きなさい。」 このところ… いつも母親である張春華からは、 このように叱られていました。
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