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「やっぱりダメか……」
スタンドライトが照らす文字を見て、僕はため息をついた。
もう一回もう一回、とボールペンを握り直して便箋に文字を綴る。そしてまたため息をつく。さっきからその繰り返し。
薄青色の便箋にはただただ同じ文字列がいくつも積み重なっていく。
『縺ゅ↑縺溘?縺薙→縺悟・ス縺阪〒縺』
こんなタイミングあるかよ。
読めない文章を睨みつけながら悪態をつくが、だからといって何か変わるわけじゃない。
しかし諦めきれず僕はスマホを手に取る。メモアプリを開いて、文字を打ち込んでみた。
『縺ゅ↑縺溘?縺薙→縺悟・ス縺阪〒縺』
くそ、やっぱりか。
ダメだとわかっていても事実を目の当たりにしてしまうとへこむ。
「まあいつかはかかると思ってたけどさ」
どうにか自分を納得させようと呟いてみるが、どうしてもがっかり感は消えなかった。せっかくの勢いが台無しだ。
諦めて椅子に背を預けると、ぎ、と苦しそうに軋む。便箋は見つからないように丸めてゴミ箱へ捨てた。
手に持ったままのスマホでブラウザを立ち上げてブックマークリンクを開く。
こんなものブックマークしとく意味あるのかと思っていたが、いざ自分がその状況に置かれて初めてその理由がわかった。発症後に検索しようとしても『譁?ュ怜喧縺醍羅』としか入力できず検索にひっかからないのだ。
少しして、Webサイトが表示された。
その一番上には大きな文字でページタイトルが載っている。
『文字化け病が発症したみなさまへ』
僕は指でゆっくりと画面をスクロールした。
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