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「幸せだったよ。お前がいてくれて」
窓の外の霧が晴れる。
どこまでも透き通った青空と光りがターミナルを照らす。
私の目からは気が付いたら止めどなく涙が溢れていた。
「そろそろ出発だな」
男は、立ち上がる。
「ほら行くぞ。母さんが料理を作って待ってる」
男は、私に手を伸ばす。
私は、その手を取り、立ち上がる。
「今度は、お前がお前の家族を迎えてやるんだぞ」
「ゆっくり来てほしいもんだ」
「お前はゆっくり過ぎだったけどな」
男は、笑う。
私も笑った。
「ありがとう。親父」
男は、親父はにっこりと微笑んで俺の手を握る。
私のターミナルは静かに終わりを告げた。
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