久しぶりに眼球をはめた

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 久しぶりに眼球をはめた。  私に視界が戻り、景色が見えるようになった。  やっぱり目が見えないよりは見えたほうがいい。  家を出て外を歩いた。  華やかな花壇と広い庭のある家を見つけた。  窓が開いていたので中が見えた、  値段が高そうな立派な服を着た大人の女の人が、男の子に、できればあまり親が子供にやらないほうがいいことをしていた。  男の子は晴れ上がった顔で泣いていた。  女の人は顔を真っ赤にして怒っていた。  でも男の子は女の人になついていた。  父親がいなくても母親がいれば子供はまともに育つと言っていた人がいた。  子供は絶対にお母さんのことは大好きなんだよ、お父さんはいなくてもいいけど、と言っていた。  私にはお父さんしかいなかったので、まともに育たないのかもしれないなと思ったのを覚えている。  その家は庭も建物もとてもりっぱだった。  女の人の髪の毛も、男の子の脱がされた靴下もりっぱだった。  男の子はお母さんが大好きそうだったので、昔聞いた話は本当だったんだなと思った。  でもお母さんはあまり男の子が好きじゃないのかもしれない。  もう少し歩いてみようと思い、公園に向かった。  広々とした芝生の上で、数えきれないほどの子供たちが、泣き叫びながら謝っていた。  謝っている相手は、それぞれの親のようだった。  親たちはみんな怒っていた。  無数の泣き顔を見て無限の鳴き声を聞きながら誰が悪いんだろうと思った。  私たちが生まれてきた場所が楽園じゃないのは誰が悪いんだろうと。  子供? 大人? えらい人たち?  私はなぜ以前眼球を外したのかを思い出した。
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