1話 始まり。

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半年程経った頃に志波がいる華族の相浦家の元に一人の外国人が護衛を一人連れ、訪ねて来た。 「おぉ、ベントじゃないか!長旅疲れたろうに、志波!荷物をお持ちしなさい!」 「はい」 そう言うと、志波はベントの荷物を受け取る。 「アイウラさんの従者ですか?」 「そうだ、私の護衛及び従者だよ、彼は柔術に抜刀術が得意でね」 「抜刀!サムライなのですね!見てみたいです!」 そう、ベントが言うと相浦は嬉しそうに縁側に連れて行く。 「志波!見せてあげなさい」 そう言うと、相浦は奥座敷から一振りの刀を手渡す。 庭に藁巻きと台座を持ってくると志波は設置をし刀に手をかけた。 刀を勢いよく抜くとそのまま振りかぶり袈裟斬りを行った。 藁巻きはそのまま斜めに切れ、落ちた。 「オォ…素晴しい!」 そう言うと、ベントは手を叩く。 相浦は満足気に言う。 「私の護衛としても十分でね、彼以外には正直目も止まらんよ」 「ワタシの護衛とどっちが強いか見てみたいです」 「確かに、それは、面白そうだ、志波!」 志波は刀を相浦に手渡すと身なりを整えた。 それに伴い、ベントの護衛も前に出る。 二人はそのまま間合いを詰め、ベントの護衛が殴りかかった。 拳は志波の顔に当たる。 志波もその伸ばした腕を見過ごさず、腕を掴みそのまま、一本背負いを行った。 投げられると解った護衛はそのまま足を使いブリッジの体勢になる。 その瞬間、二人は笑うとまた距離を取った。 「サムライ、やるな」 「あなたも相当な腕前ですね」 そのまま二人はまた間合いを詰め志波が護衛を殴り、護衛も志波を蹴り上げる。 やがて、二人は息を切らしながら最後の攻撃に出た。
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