1話 始まり。

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志波は、アルラ連合王国領事館に出向いていた。 その手には、捏造された戸籍や職歴、経歴などを持っていた。 どうしても、貴族の従者として働くためには身の潔白が必要であった。 前回、あったベントともう一人の外交官と3人での面談、調査が行われた。 2人は渡された書類を捲り、いくつか質問をした。 志波はそれに難なく答える。 「よく、ここまで私達の言葉を話せますね」 「えぇ、元々私の知り合いに留学経験のある人がおりまして、私もある程度学んでみたいと思っていたら、はまり込んでしまいました…」 それを聞き、二人は笑う。 「アイウラさんの推薦もあるので、信用には足りるのですが、一応、身辺調査もさせて頂きます。」 こうして、この日は終わり、一ヶ月の身辺調査が行われる。 しかし、ここも軍部は把握しており、ベント達が聞き込みをした人達や、役所にまで軍部のOBや第四四三部隊の隊員たちの息が掛かっていた。 こうして、彼は志波として問題ない人間と認定され、スパイの可能性も少ないと判断されたのであった。 こうして、第四四三部隊から娑婆に移り約1年ほど経過した1912年1月の志波が20歳の時、アルラ連合王国へと渡った。
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