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それから、ベントは国内の東皇人の他に国内の王国人達を次々と紹介したが、ロベルトは頷かなかった。
そんな日々が続いた頃、1つの知らせがロベルトの元に届いた。
それは、東皇に出向いたベントからであった。
そこには、白黒の写真と共にベントの手紙が入っていた。
『私の東皇の知人であるアイウラさんの従者にロベルト様が探している条件にピッタリの人を見つけました。彼は刀を上手く使い、徒手格闘もでき様々な身の回りの事に気が利く方で素晴しいサムライです』
写真には笑顔のベントと相浦の間に刀を差し立っている七瀬の姿が移っていた。
ロベルトは彼の話と事の経緯をアリアにする。
「私の専属従者は東皇人になるの?」
「あぁ、確定ではないが」
「私は絶対に嫌です!3年間も一緒にいるんですよ?」
アリアはそう言うと不機嫌そうにため息をついた。
理由は単純でこの頃の東墺人は狡猾で尚、野蛮な国として雑誌や新聞などで紹介されており、階級制の強い王国では嫌がられていた。
「あら、東皇人は面白いわよ。昔一回だけ行った事があるのだけれど、真面目で勤勉で多少の無理でもやろうとして私は好きよ!アリアも絶対気にいると思うし、これから東皇の事も知れたら将来にも繋がるわ!」
そう、母のミリアが言う。
ミリアは元々財閥の令嬢であり、観光で東墺に滞在していた事があった。
「アリアの提示している金額では彼が精一杯だ。嫌なら無しだ。」
アリアは渋々承諾し、ミリアの勧めでロベルトは彼を雇うことに決めたのだった。
そのまま、彼はロベルトと共に東皇へと向かった。
そこで、彼の出生や職歴、日常会話による王国語の出来を見てロベルトはようやく縦に頷いた。
その半年後、七瀬とアリアは初めて顔を合わせるのだった。
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