16人が本棚に入れています
本棚に追加
1912年1月
七瀬は志波としてアルラ連合王国へと入国を果たしたのであった。
港には主になるロベルトとその従者であったアンが待っていた。
ベントの紹介で志波が挨拶をする。
契約は3年間であった。
志波はそのままロベルトの秘書が運転する車に乗り込む。
「再度よろしく頼むよ、シワ」
「私こそ、ウィンドル家に従えられる事がとても光栄です。」
そう言うと陣場は座りながら頭を下げた。
ロベルトは陣場の横にある長い棒の様なものが目に止まった。
「それが、サムライの魂である刀かい?」
「そうです。」
「なるほど…思ったより長くはないのだね。」
「そうですね、ロングソードと比べればそこまでは長く無い物になります」
「ブシドーと言うものか。君は私の娘の言う事を聞いて、娘を守ってくれ。それ以上もそれ以下も私は求めないさ。娘が喜べばそれでいいよ。」
「かしこまりました。」
志波が言うと、ロベルトはため息をついた。
「まぁ、辞めたくなったら直ぐに言いなさい。」
「ありがとうございます。」
やがて車は長閑な風景の真ん中を走る。
志波はそれを眺めていた。
(お国の為…ここは敵国、歓迎されていないのは百も承知だ。)
車はやがて屋敷へとたどり着いた。
地方領主と言っても伯爵階級ということもあり、立派な屋敷だった。
最初のコメントを投稿しよう!