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駅に着き、アリア達は寝台列車に乗り込んだ。
1部屋に3人であり、アリアはそれを見て嫌そうな顔をした。
「猿と一緒に寝るなんてあり得ないわ!あんたは別の場所にいなさい。」
「かしこまりました。」
そう言うと志波は荷物を置き、刀だけ袋に入れ背負い客室を出た。
王都からは列車で3日程かかる長い旅路であった。
志波は取り敢えず、自由席車両へと移った。
扉を開けると周りの視線が神室に向く。
「東皇人だ…」
「東皇人が何のようだ」
そうヒソヒソ話をされたが、何も気にせず適当な席へと座る。
神室は窓の外を見ながら絵を書き、暇を潰していた。
やがて周りの乗客も何も気にしなくなり、静かな時間が過ぎていったのだった。
(…差別と言ってもこんなものか)
そんな事を考えながら絵を描き続けた。
「絵がお上手なんですね」
そう、急に言われ驚きながら顔を上げるとそこには一人の少女とそれに付き沿いの老紳士が立っていた。
「…ありがとうございます。」
「!王国語もお上手なんですね、お隣に失礼してもよろしいですか?」
「…お嬢様!」
付き添いの老紳士が強い口調で止める。
「別にいいでしょ?貴方も向かいに座れば。」
「しかし…」
「そもそも東皇人と話す機会なんて無いし、お父様も東皇人と話すべきとおっしゃっていましたわ」
「…」
「ちゃんと戻るからいいでしょ?」
少し溜息をつくと、わかりましたと答え二人は志波の向かいの席に座る。
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