2話 出会い。

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「貴方は王国で何をするんですか?」 「…何と言うか留学みたいなものです。」 少女の質問に対して志波はペンを走らせながら答える。 「そうなんですね!だから王国語も流暢なのですね!」 「まぁ、そんな感じです。」 そこから、少しの間沈黙が続いた。 先に口を開いたのは少女だった。 「ちなみにどちらへ向かうのですか?」 「王都までです。」 「奇遇ですね、私もなんです。」 「そうでしたか。」 「私も貴族ではないのですが、アザレア学園に入学が決まったので向かっている最中なんです!」 「…!そうでしたか、ならまたどこかで会えるかもしれませんね。」 「えぇ、でもあと3日もここにいるのは大変じゃないですか?」 「慣れていますから大丈夫ですよ」 「…もし良ければ、私達の部屋にご一緒しませんか?」 「お嬢様!」 老紳士が声を出すと、志波もそれに合わせて返事をした。 「有り難いのですが、見ず知らずの人間を誘うのは危険ですので止めたほうがいいですよ。」 「なら、貴方は危ない人なんですか?」 「…さぁ、どうでしょうか」 少女は少し笑う。 「…お名前を聞いても?」 「シワです。」 「シワさん…わかりました。またお会いする機会があれば、再度お話しましょう。」 そう言うと少女は老紳士を連れ、席を立った。
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