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テラスに入ると数人いるだけで席は結構空いていた。
「…」
やはり周りの目は志波に向くが胸元の徽章を見て皆目をそらした。
「あの東皇人、貴族の飼い犬なのか…」
そんな言葉がコソコソと聞こえる。
「…はぁ、だから連れて行きたくなかったの。」
そうアリアは言い放つ。
「申し訳ございません。」
「…あっそ。」
アリアはそのまま席に座る。
志波はその座席の隣に立った。
「…立ちっぱなしは私が恥ずかしいから座りなさい。」
「ありがとうございます。」
志波は向かい合わせの席でアリアの左前に座る。
二人の間に沈黙が続いた。
「…あんたはなんで王国に来たの?」
「それは、ベントさんから誘われたので…」
「家族とかはいるんじゃないの?」
(適当な追い出す理由があれば…)
アリアはそんな事を考えながら志波に質問する。
「家族はいないです。幼い頃に亡くなったので。」
「…そう。」
「…私に恥をかかせないでね。」
「かしこまりました。」
再び沈黙が続く。
「…」
(…不味いな……一向に進展がない…)
「あの…お嬢様。質問宜しいでしょうか?」
「なに?」
「あっちの学校では何かクラブには入られるのですか?」
「唐突ね」
「申し訳ありません。何せ、そういった活動は参加できなかったので興味がありまして…」
「そうね…まぁ、あっちに着いてから考えるわ。」
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