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二人の会話を尻目に車窓の景色は変わっていった。
「…はぁ、部屋に戻るわ。」
アリアは溜め息混じりに席を立つ。
「かしこまりました。」
志波もその後ろに立ち、あとをついて行った。
「…本当に嫌だわ」
小声でアリアは呟く。
志波は聞こえてはいるものの、気にせず歩いた。
アリアの部屋の前まで来ると志波はいつも通り部屋の前に立つ。
「そうだ、正直警護はアンがするからアンタはそこから動かなくていいわ。」
そう、一言言うと部屋に戻っていった。
(…クソガキ)
志波はそう心の中で思いながらも平常心を保っていた。
「…かしこまりました。」
そのまま、立ち続けているとアンが部屋から出てきた。
「気を落とさないでください。」
「大丈夫です。お嬢様のお近くにいなくて宜しいんですか?」
「えぇ、今は勉強なさっているので私も席を外せと言われてしまいました。」
アンはニコッと笑った。
「…今回の学園の入学に関しては私ではないほうが良かったのでは?」
「一応、男性は必要でしたし気にしないで下さい。」
「…ここまで嫌われていると何故雇ったのかもわからなくて…」
「…正直、お嬢様の見栄と奥様の意向が強いんです。」
「そうなんですね。」
「えぇ、特に伯爵階級なのにも関わらず、アリア様の専属が一人もいないことが一番の理由です。」
「…なるほど」
「学園に関しても警護の人間はそれぞれ別の部屋が与えられていまして一緒に生活を常に行うわけでは無いので大丈夫だと思います。」
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