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「それなら、良かったです。」
志波は笑った。
「…シワさんはいいんですか?」
「何がですか?」
「お嬢様に仕えていてです。」
「えぇ、別に気してませんよ。この仕事しかありませんし」
(そもそも情報を取るためだし、辞めれないからな…)
「そうですか…」
「気にしないでください、私も楽しいので。」
「ご相談があれば仰ってくださいね。」
「ありがとうございます。」
ドアが開く。
「アン、ここを教えて」
「かしこまりました。」
アンはそのまま部屋の中に入っていった。
その後に清掃員がやってきた。
その清掃員に志波は周りの目を伺いながらタバコの箱を渡す。
清掃員がそれを受け取るとペンを志波に渡した。
そのまま清掃員が居なくなると、ペンを分解し始めた。
ペンの中には一切れの紙に暗号文が書かれていた。
〈アザレア潜入祝福ス。今後モ期待。〉
そう書かれてあった。
「参謀本部か…」
そしてその紙を細かく破り、煙草の葉の中に混ぜた。
(…こんなもんかな)
混ぜた葉を巻き直しシガレットケースの中に入れる。
(さて…情報収集をしないとな…)
志波は頭を抱える。
(先ずはアリアに気に入られないと…その為にも会話をしたいが難しいな…)
「面倒な役だな…」
そう呟きながら、目の前の車窓を眺め続ける。
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