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[1910年2月(帝記二〇一一年)大東皇帝国]
一同は講堂に呼ばれ、配属部隊発表と大きく黒板に教官が書く。
やがて、各員一人づつ呼ばれ、別室で配属部隊が言い渡された。
そのまま、各員は居室へ戻るように指示される。
七瀬も呼ばれ、仮の部隊名が言い渡された。
部屋に七瀬が戻ると、騒がしかった。
それぞれの部隊が決まり歓喜するもの、落胆するもので溢れかえっていた。
一人の同期が七瀬に話しかけた。
「七瀬はどこに決まった?俺は北高地方の第二師団の第二三歩兵連隊だ」
「俺は第一師団の第一歩兵連隊だ」
「エリート部隊か!流石だな!」
同期である中岡候補生は笑う。
中岡は七瀬と仲が良く、お互いを励まし合いながら過ごして来た戦友であった。
「しかし、お前は高級将校にはならないのか、勿体ないと思うんだがな。」
「あぁ、高級将校になった所で俺にはそんな才能なんかないしな。」
「それは、俺への嫌味か?七瀬。」
「そうかもな。」
二人は声を出して笑う。
他の同期たちも集まると、七瀬の配属先を羨ましがった。
七瀬は笑いながら同期達と話をする。
長いようで短かった四年間は陣場にとって生涯忘れられない時間だった。
そして、やがて月日は経ち候補生達は卒業式を迎えた。
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