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七瀬を載せた八七式トラックはどんどん町中へ進んでいた。
やがて、駐屯地の前を通り過ぎトラックは飛行場へと向かった。
そこには、偵察機である八六式偵察機がありその近くにトラックは停車した。
周りには数台のトラックと数名の自分と同じような人々が荷物を抱え立っていた。
「こちらでございます。」
そう言うと、トラックを運転していた伍長が敬礼をし、偵察機内へ入るように促した。
「ありがとうございます。」
七瀬はそのまま荷物と共に偵察機内に乗り込む。
軍刀を前に置き、窓から外を眺める。
レシプロエンジンがブロロと唸り声を上げ、機体が揺れる。
そのまま、機体はゆっくりと滑走路を走り出した。
偵察機は加速していき、離陸する。
小さくなる地上を見ながら、七瀬は目を瞑った。
(こわ…)
そんな事を思いながら、偵察機は目的地の【国見島】へと向かう。
【国見島】は東皇帝国の本島である島から東洋海沖合に25km離れた小島であり、陸軍参謀本部管轄である陸軍国見学校、通称東部第四四部隊が所在する所であった。
その秘匿性の為、地図上からは消され、その周囲を航行する事も禁じられていたのである。
この陸軍国見学校を卒業した後は各部隊へ再配置されたり、陸軍参謀本部管轄の秘匿部隊への配属が行われていた。
やがて、目的地の小さな島が窓越しに見えてくると滑走路と隊舎がある場所以外は鬱蒼と茂った木々で覆われていた。
偵察機は速度を下げ、着陸準備へと移っていた。
そのまま機体は滑走路に向かい、無事に着陸した。
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