1話 始まり。

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七瀬は少し不安があった。 それは、士官学校の際に受けた切磋琢磨であった。 あの地獄から抜け出しようやく気楽になると思ったのに、また地獄へ逆戻りした気分であった。 しかし、最初に言われた言葉の理由をいきなり知ることになった。 「貴様らは、まず髪を伸ばすように。」 そう、細田は告げる。 この陸軍国見学校はスパイ教育及びゲリラ戦術を学ぶ所である為、一般人になりきる必要があった。 その為、見るからに軍人である風貌の彼らを変えることからスタートしたのである。 軍服から私服に替え、髪はどうしようもない為伸びるまではそのまま。 それから隊舎に入り、荷物を置くと講堂に集められた。 この陸軍国見学校の入隊式であった。 いつも通りの訓示や激励の後、各班に分かれ行動するようになる。 課業、食事、入浴には多少の制限等はあったものの、それ以外は基本的に自由であった。。 そして、教育も今までとは違うものであった。 S暗号作成、S暗号解読、情報収集、破壊活動、隠蔽工作、外国語、様々な事を学ぶ事になった。 それ以外にも、島内では新聞もラジオもない為、遊郭にて男女の仲になり何度も一夜を共にし国内情勢、他情報確保を行う課題等もある。 七瀬は、その中でも頭角をあらわにしていくのであった。
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